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恵比寿でブラブラした話

2週間ほど友達から借り物をしていて、今日はそれを返すついでに食事でも、という約束をしていた。場所は二人の居住地から間をとって恵比寿でということになった。恵比寿駅に降りるのは、これまた別の友人らと食事にいった時以来で2、3年ぶりくらいのような気がする。この辺の地理には全く詳しくない。

とりあえず友達の案内でシャレオツ〜なカフェでランチした後、適当にブラブラしようという事になり、恵比寿ガーデンプレイスの方まで歩いて行く。ははぁ、これが恵比寿ガーデンプレイス。4年ぐらい東京にいながら、まともに中を歩くのは初めてだった。

しかし、実は数日前に俺はガーデンプレイスに電話をかけている。例の撮影会イベント会社のバイトで、「冬のイルミネーションが開催される施設を片っ端からリサーチして、撮影会の開催が可能かどうか確認せよ」という指令を受け、その中の候補の一つとしてここに電話した。「撮影会」とだけ言って問い合わせると大抵「具体的にどんなイベントですか?」と聞かれるので、なるべく言葉を選びながら、さも健全な催しのように説明するのだが、結局電話口のお姉さんに「そういうのはちょっと・・・」と引き気味で断られるのが大半である。このガーデンプレイスもその玉砕したうちの一つ。ま、仕方ねえやな。

とにかく、そのまま敷地内をブラブラして、エビスビール記念館の前を通り掛かる。さすがに普段エビスをしょっちゅう飲むほどリッチではないが、缶ビールはサッポロ党の俺としてはちょっと興味がある。現在はコロナの影響でツアー休止中なものの、入館自体は無料でできるとのことだったので、ちょっと覗いてみようかという話になり入ってみたら、感染防止の入場制限の列ができていた。しかし、受付のお姉様に体温を計られ、手も消毒してしまった手前、やっぱりやめときますともなんとなく言い出しづらくてそのまま並ぶことに。まぁ、結局そんなに待たされずに入場できたが。

エビス缶 made by エビス缶

中にはエビスビールの歴史を学べるちょっとした展示コーナーと、土産物売り場、ビールのテイスティングカウンターが設置されている。

旧エビスビール工場模型(現恵比寿ガーデンプレイス)

この模型を見て初めてガーデンプレイスがエビスビール工場跡地であることを知った。

展示コーナーに向かうと、なにやら一人でぶつぶつ喋っているおじさんがいて、なんとなく嫌な予感はしていた。友達と2人で歴史を示した写真やら資料やらを眺めていると、案の定そのおじさんが話しかけてきた。俺はこの手の人を引き寄せてしまう何かを持っているんだろうか・・・。

「この写真はねぇ、徳川慶喜が撮ったんだけど、この人はねぇ、相当写真好きだったんだよねぇ。この人知ってる?」
なんて、俺に対しても一橋様に対しても妙に馴れ馴れしい口調で来るので、
「ああ、はい・・・最後の将軍っすよね・・・」
と適当に相槌を打ったんだが、今にして思えば俺のこの初手の対応が全ての間違いだったと反省している。

この手の人に対する正しい対応の仕方としては、徹頭徹尾、無視を貫くことだ。さもないと東京で平穏に生活なんかできない。しかし俺の場合、所詮は田舎者の性なのか、こういう時でもドライ&クールに徹しきれないきらいがある。それが災いして過去にも色々めんどくさい目にあってきたのに。(あからさまな色恋営業のジュエリーショップ店員に3時間長電話に付き合わされた挙句、最終的にその子の人生カウンセラーにされた事件etc.)

とにかく、俺が中途半端に反応を示してしまったせいで、完全にこのおじさんにロックオンされてしまった。これについては一緒にいた友人に対しても本当に申し訳ないと思う。以後、このコロナ禍にも関わらず、このおじさんは俺ら専属のツアーガイドになってしまう。

おじさんはこの施設ツアーの常連らしく、ガイドの説明内容は熟知しているようなことを言っていたが、かと言って俺らに分かりやすい解説を披露してくれるかといえばそういうわけでもなく、妙に呂律が回っていないし、笑いを要求するポイントがよく分からないし、解説書きの内容に独自の異論持論をぶっ込んでくる上にそのソースが「その筋から聞いた」とかいう非常に明確性に欠けるものである。不躾で申し訳ないが、はっきり言って邪魔でしょうがない。挙句、急に足をもつれさせてショーウィンドウに体当たりをかます始末。薄々気づいてはいたが、このおじさん、既にテイスティングカウンターでしこたま飲んでやがる・・・。

俺ら以外にもカップル客が周りに数組いるんだから、そっちにも行ってくれよと心から願いつつ、適当な相槌を続けながら展示を見て回る。

恥ずかしながら、恵比寿の地名がエビスビールに由来するものだということを今まで知らなかった。てっきり逆だと思っていた。元はビール出荷専用の貨物駅だったんだな。

1904年のビール一本は、かけそば10杯相当の価格。今は富士そばのかけが310円だから、3100円ぐらいのイメージ。あんまりグビグビ飲む気にならんな。デフレがデフレがと騒がれるけど、本来、ものをより安く売れるようになるってのは立派なことだ。今はメーカーが英知と技術を駆使して低価格を実現すれば、国はその分税率を上げて企業努力をかすめ取る。皮肉なものです。

ラッキーエビス

これも初めて知った「ラッキーエビス」柄の存在。エビス様が持ってる鯛が2匹。下は比較用の通常バージョン。

鯛は1匹

他にも、面白そうな展示資料はあったのだが、いかんせん専属ガイドがうるさすぎて後半はほとんど集中できなかった。展示コーナーの最後あたりに、古いオルゴールが置かれてあった。エビスビールのCMや恵比寿駅の発車メロディでおなじみの「第3の男」テーマ曲が流れる手動のオルゴールだ。

(↓参考「第3の男」テーマ曲)

たぶん、ツアーが行われているときはガイドの職員さんが回して聞かせてくれるのかもしれないが、今は「手を触れないでください」とだけ書かれて置いてある。ところが、こともあろうに俺らの非正規専属ガイドが「俺がやってあげる」と言い出しハンドルを回し始めやがった。「いやいや、流石にそれはまずいでしょ」と止めたのだが「俺は大丈夫」という意味不明な回答。誰もお前の心配はしてない。オルゴールの心配をしている。第3の男のメロディが、入場制限で空いた館内に響き渡りはじめたので、俺と友人はさすがにもうこれ以上コイツといたらヤバイと察し、別れの挨拶もあらばこそ、逃げてその場を後にした。

せっかくなので、テイスティングカウンターで1杯味わっていく。

黒ビールとかも惹かれたが、俺はとりあえず王道のパーフェクトエビス(左)。ビールがあまり得意でない友人はエールベースのカクテル(右)。おつまみはレトロに冷やしおでん。いずれも400円也。オールモルトだから苦味が少なく、どちらかというと甘さのようなものを感じる上品な味。無職には不相応だが、しかし喉に染みるぜ・・・。冷やしおでんは、さっきの展示室の歴史資料で紹介されてたから頼んでみたが、結局あったかい方が美味しいよねという結論に達した。まぁ、知ってたけども。

というわけで、ちょっとした不測の事態はあったものの、なんやかやで楽しかった。気軽に寄れる施設なので、行ったことのない人は暇つぶしにでもお勧めする。ただし、非正規のツアーガイドは決して雇わないことだ。願わくば、コロナが落ち着いて正規の館内ツアーが再開されればいいのだが。

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